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旧長崎刑務所の設計者

ファイル 1328-1.jpg

引き続き、旧長崎刑務所です。何としても残したい一心です!!

さて、この旧長崎刑務所の設計者ですが、山下啓次郎(やましたけいじろう)です。ジャズピアニストである山下洋輔の祖父としても有名です。

山下啓次郎は、1867年(慶応3年)鹿児島県生まれ。帝国大学工科大学(現在の東京大学工学部)で辰野金吾に建築を学び、卒業後、警視庁、後に司法省営繕課で技師として、明治の五大監獄と呼ばれる千葉、金沢、鹿児島、奈良、長崎の刑務所や、名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所などの設計を担当します。1931年(昭和6年)没。

千葉刑務所
千葉刑務所(明治40年築)は、煉瓦造の管理棟や正門などが現役で使われています。

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金沢刑務所(明治40年築)は、昭和45年の移転にともない解体されましたが、中央看守所と監房の一部、そして正門が明治村に移築され、いずれも国登録有形文化財です。

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鹿児島刑務所(明治41年築)は、昭和61年の移転にともない解体されましたが、保存運動の結果、石造の正門のみが現地に保存されています。国登録有形文化財です。

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奈良刑務所(明治41年築)は、現在も奈良少年刑務所として、煉瓦造の本館や正門などが現役で使われています。

長崎刑務所
長崎刑務所(明治41年築)は、平成4年に移転にともない閉鎖され、そのままの形で保存(放置?)され、現在に至ります。今年(平成19年)の6月中に解体予定の計画が発表されています。

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名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所(大正11年築)は、現在、国の重要文化財に指定され、名古屋市市政資料館として活用されています。

旧長崎刑務所は、施設がそのまま残されており、史料としても貴重です。修復・補修して文化財に指定し、何らかの形で現地に保存するべき価値の高い建物群です。

【追記】
山下啓次郎と同じ1867年(慶応3年)生まれには、建築家伊東忠太(帝国大学工科大学も同期)や、文豪夏目漱石、ジャーナリスト宮武外骨、博物学者南方熊楠、そして、海外では建築家フランク・ロイド・ライトなどがいます。

青森県黒石(09)

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クリーニング屋さん。なだらかな富士型の看板建築です。もっと円が丸ければ、典型的な看板建築なのですが。

旧長崎刑務所の価値

ファイル 1325-1.jpe

一昨日、昨日と、諫早の旧長崎刑務所の一般公開でした。ずっと、ブログでウオッチングを続けています。

多くのブログに、撮影してきた写真が公開されています。写真を見ると、昨年見たときよりもさらに老朽化が進んでいるように見えます。メンテナンスをしない建物は、こんなに簡単に廃墟化が進むものなのですね。

旧長崎刑務所の解体について、世間であまりニュースにならないことが悲しいです。旧長崎刑務所は、とてつもなく貴重な建物です。近代建築探訪メーリングリストで小生は、「東京駅解体と同じくらい大きな問題だと思う」と書きました。地域文博・高炉館の庵田さんは、「煉瓦造建築としては、西日本内で最大級の規模であると確信します」と書かれています。ただ、このことが話題にならないことについてALL-Aブログのtksさんは、「刑務所であるが故」と書かれています。

そうなのです。刑務所もそう、旧遊廓もそう、旧軍事遺跡もそう。無かったことにしたいものは、抹殺してしまうのです。

たとえば、登録有形文化財の登録基準の一つとして「再現することが容易でないもの」という項目があります。旧長崎刑務所のように大規模な煉瓦造の建物は、すでにこの基準にかなうはずです。

建物は、資産価値や効率化だけで評価すべきものではないはずです。予算が無いという理由だけで解体してしまうのは、何も価値を評価していないということです。

旧長崎刑務所の場合、使われていない刑務所を15年間も放置してきたこと自体がおかしいことなのですが、所有者だけの判断で解体してしまうこともおかしい。近隣の方々からの評判が悪いというのは、小樽運河のときもそうでした。それは、未来のある、近い将来のプランが示されないことが問題なのだと思います。旧長崎刑務所は、解体後のプランも無く、ただ解体するだけだとか。このまま放置されても困るが、何も目的もなく解体されるのも酷い話です。

旧長崎刑務所を解体するのは惜しい、残念だと言うだけではダメです。旧長崎刑務所には価値がある、残せと言わなければなりません。

価値を知る者がその価値を伝えなければ、誰もその価値を知ることができません。旧長崎刑務所を知る人は、ぜひ、価値があると声を挙げてください。価値を知る人が増えれば、展開の可能性も増すでしょう。少なくとも、価値ある旧長崎刑務所のことが世に知られぬまま、覆い隠すように解体されてしまうようなことがないように。

青森県黒石(08)

ファイル 1291-1.jpg

メガネの菊屋。スクラッチタイル貼り、縦長窓のしっかりした建物です。

青森県黒石(07)

ファイル 1290-1.jpg

ときや。このような階段状の看板建築は、結構各地で見かけます。

青森県黒石(06)

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白鳳堂。バランスが?ですが、円窓がモダンです。

青森県黒石(05)

ファイル 1288-1.jpg

りんご史料館(平成13年築)。黒石の郊外にある旧平果試験場本館(昭和6年築)を撮影しに行ったのですが、老朽化ですでに解体されており、同じ基礎の上に復元されていました。平成11年に、アユミギャラリー主催の「近代建築史への旅スケッチ展」青森展に同行して黒石を訪れたときに、バスからちらりと見たことがあります。旧平果試験場本館は、建物全面が蔦で覆われ、まさに幽霊屋敷のような建物でした。イギリスの園芸研究所「イーストモーリング研究所(East Malling Research)」の建物を模して建てられたとか。

以前の建物の写真は、こちらに載っていました。
http://www.mumyosha.co.jp/guide/hakubutu/aomori/ringo.html
http://www.net.pref.aomori.jp/kuroishi/Sight_Seeing/Sig_Ringo_en_shiryokan.html

旧長崎刑務所、解体へ

ファイル 1287-1.jpg

昨年、念願かなって訪問することのできた諫早にある旧長崎刑務所ですが、今月中旬にも解体されることが決まったとの情報を得ました。

長崎新聞の記事
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20070526/02.shtml

「地域文化博物館・高炉館」の庵田さんの掲示板ブログで、先月末、急に一般公開されたことを知り、見に行きたかったと残念に思っていたのですが、解体に向けての一般公開だったとは……。あまりの反響の大きさに、再度、今週末に一般公開を行なうようです。行きたいが、行けそうにない。

長らく廃墟状態で放置してあったのは、解体するには惜しいと思ったからに違いありません。しかし、経済状況が改善に向かい、民間デベロッパーも動き出せば、文化遺産もただの無駄な空き地に見えてくるのでしょう。

その論理に、真っ向反論できる論理を構築しなければ、いつもいつも負け戦ばかりです。

http://www.jmam.net/blog/archives/472.html
http://www.jmam.net/blog/archives/474.html

青森県黒石(04)

ファイル 1286-1.jpg

第三分団屯所(大正13年築)。青森県重要文化財。

青森県黒石(02)

ファイル 1284-1.jpgファイル 1284-2.jpg

第二分団屯所(大正9年築)。黒石にはクラシカルな3つの屯所があり、パンフレットなどで町を挙げて自慢としています。この第二分団屯所は、町のT字路の正面にあります。

青森県黒石(01)

ファイル 1283-1.jpg

黒石の駅前で迎えてくれるスクラッチタイルの洋館。

宮崎県宮崎(03)

ファイル 1276-1.jpg

国道沿いに建つ看板建築。洋品店の建物でしょうか。

宮崎県宮崎(02)

ファイル 1275-1.jpg

旧勧業銀行宮崎支店(大正14年築)。宮崎県庁のすぐ側に建つ銀行建築です。