旧長崎刑務所が今どうなっているのか、その後の情報が出てこない!! まだ、手がかけられていないことを祈っています。長崎新聞さん、旧長崎刑務所は今、どうなっていますか?
旧長崎刑務所は、すでに民間の不動産会社に売却されてしまっているということですので、あとはその業者さんの意向次第ということかも知れませんが、まだ諦めてはいけません。
旧長崎刑務所を購入したのは、東京の不動産会社だという話も聞こえてきます。ぜひ業者さんには、諫早のこの現地を見てほしいと思います。遠く離れた土地での机上の計画だけではなく、実際の現地を見、歩き、感じてほしい。そうすれば、きっとこの旧長崎刑務所の価値や意義を実感するに違いありません。そうすれば、この建物や空間を活かした計画をせざるを得なくなるはずです。業者さんには、この旧長崎刑務所という素材に対して、どのような活かし方をするかの手腕が問われることでしょう。
不動産を所有するということは、自身の財産として何でも自由にできる、ということでは決してありません。さまざまな法規制もありますが、それをクリアさえすれば良いというだけでもありません。
不動産を所有するということは、時間軸と空間軸という両座標軸上での責任を負うということを理解しなければなりません。時間軸とは、過去から未来へという、歴史的価値を伝えること。空間軸とは、近隣や地域の中でのその物件の意味、さらに、もっと広く地球規模の空間の中での意味までをも考えなければなりません。これは、この旧長崎刑務所のような歴史的建造物だけでなく、どんな小さな住宅でも、マンションでも同じです。不動産を所有するということは、そういった重い責任を負うことなのだということを、誰もが理解し、意識する必要があります。
旧長崎刑務所は、重要文化財級の非常に価値の高い建物ですが、たとえ文化財に指定されていなくても、価値があるということに揺らぎはありません。ものの価値はレッテルではなく、そのもの自体に価値があるのです。
なお、旧長崎刑務所のことを載せているブログの多くには、価値は認めるが、ここまで老朽化してしまっては解体も止むを得ないという記述が少なくありません。しかしながら、たとえどれほど老朽化しても、解体の理由にはなり得ないのです。全国の残る文化財指定の近代建築の多くは、どれも老朽化し、一時は廃墟のようになっていたのです。人々がその価値を見出し、保存をするという意志さえあれば、保存できるのです。要は、その物件の価値を見出すかどうかに掛かっています。
また、旧長崎刑務所を保存するには数十億円もかかるのでは、解体も止むを得ないという記述も見られます。不思議と、なぜか他の建物でも解体する理由として、保存するには数億、数十億円かかるという金額が示されます。こんなにかかるのでは止むを得ない、という口実を与えるための金額なのではないかとさえ疑われます。建物全体を一気に修復・保存するとすれば、それなりの金額がかかるでしょうが、予算が無ければ無いなりの修復・保存の方法があるはずなのです。要は、その物件を残したいという意志次第なのです。お金が無いから残せなかったとは、何とも恥ずかしい話ではありませんか。
旧長崎刑務所を取得された東京の不動産屋さん。この旧長崎刑務所が、後世に誇るべき良い形で残されることを期待しています。