旧水上歯科医院(昭和7年築)。
日本各地の近代建築探訪など
小道さんのコメントの通り、何故か帯広には、洋館を使ったおそば屋さんが多く見受けられます。元々、おそば屋さんだったのではなく、用途転用なのだと思いますが、面白い傾向です。
帯広には、面白い建物が沢山残っています。数年前には、もっと沢山の建物が残っていたのですが、それでも、まだ残っているほうです。
この建物は、地元の商社の本社事務所。辰野式と書きましたが、辰野金吾の設計ではありません。しかし、どう見ても、東京駅の亜流ですよね。近年まで、入口のシャッターに社名が書かれていたのですが、今回行くと消されていました。悲しいニュースにつながることでないことを祈ります。
網走駅裏の丘の上にある、旧北見教育会網走博物館。現在、網走郷土博物館として現役の建物です。
設計者田上義也は、ライトに学び、道内で活躍したモダニズムの建築家。先月北海道へ行った際、『田上義也と札幌モダン』という本を見つけました。建物の実現のためには、交遊関係が重要であることがわかります。
小生などの世代の者にとって、北見と聞くと「薄荷」と反応してしまうのではないでしょうか。薄荷の生産量世界一という時代がありました。北見は、道東地区の大都市でした。
この写真は、駅近くで見つけた洋館で、隣には日通の事務所があります。古物商の店舗となっています。
旭川と網走の間に、遠軽という町があります。旭川から網走へ行く列車は、遠軽駅で進行方向が変わるスイッチバックの駅です。かつては、紋別や浜頓別などオホーツク海沿岸の町へ、鉄道が通っていました。
この建物は、遠軽駅のそばにある医院の建物です。残念なことに、窓がアルミサッシに替えられており、入口も塗り込められてしまっています。
函館の旧丸井今井百貨店です。
いつも元町の市電通り側からしか見ることがありませんでしたが、今回、別の通りからふと前を見ると、素敵な塔屋が見えました。上海の摩天楼のようです(行ったことはありませんが)。元町から、丸井今井百貨店が撤退して後、市役所の水道局として利用されていましたが、それも別の建物に移り、現在は空き家です。
今週、北海道へ行っておりました。
旭川で、いつも気にしているのがこの建物。合同酒精の工場なのですが、何と、煉瓦造の5階建です。
煉瓦造は地震に弱く、関東大震災のときに浅草の十二階が倒壊した(本当は一部崩れて危ないので解体した)という写真をよく目にしますので、この煉瓦造5階建が倒壊してしまうのではないかと、いつも心配しております。
合同酒精は、浅草のデンキブランや牛久シャトーの蜂ブドウ酒(いずれも旧神谷酒造)などでも有名な会社。この5階建のまわりにも、煉瓦造の工場が建ち並んでいます。
旧水上歯科医院、昭和7年築
この建物は、小生の故郷・小樽で一番オススメの建物です。最初見つけたときには、こんな建物が小樽にあったのかと驚きました。南小樽(通は「南樽(ナンタル)」と呼びますネ)の駅の近所です。南樽付近は公立病院があり、そのまわりに個人医院が沢山あります。つい近年まで(と言っても、もう10年以上前か)は、珠玖小児科医院など、とてつもなく素晴らしい建物もあったのですが……。
(2005年7月撮影)