先週5月26日午前、北海道小樽市の坂邸が全焼しました。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/28391.html
この建物は、田上義也設計、昭和2年築の洋館で、岩井俊二監督の映画「Love Letter」(平成7年公開)で主人公の家という設定で登場します。
設計者田上義也は、明治32年栃木県生まれ。F.L.ライトの帝国ホテル建設事務所の募集に20歳で応募し、現場でライトやレーモンドに学びます。帝国ホテル完成後、たまたま汽車に乗り合わせた宣教師バチェラーの啓示で北海道に渡り、札幌に個人設計事務所を開設し、道内各地に作品を残しました。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~komichi/Home_page/architecture/tanoue.htm
岩井俊二監督の映画「Love Letter」は、中山美穂主演の淡いラブストーリーで、小樽各所でロケが行なわれ、沢山の小樽の近代建築が使われています。なぜか韓国や台湾で大ヒットし、海外からの多くの観光客が小樽を訪れロケ地めぐりをしています。
建物の焼失は、取り返しのきかない悲しい出来事です。せめても、失われた建物に残された物語を映像で呼び起こし、記憶にとどめたいと思います。
映画中、図書室でのエピソードは、小樽ゆかりの作家伊藤整が小林多喜二の思い出として書いているものに似ています。そのエピソードをもとに、小生も高校時代に小説を書いたことがありました(汗)。