一昨日、昨日と、諫早の旧長崎刑務所の一般公開でした。ずっと、ブログでウオッチングを続けています。
多くのブログに、撮影してきた写真が公開されています。写真を見ると、昨年見たときよりもさらに老朽化が進んでいるように見えます。メンテナンスをしない建物は、こんなに簡単に廃墟化が進むものなのですね。
旧長崎刑務所の解体について、世間であまりニュースにならないことが悲しいです。旧長崎刑務所は、とてつもなく貴重な建物です。近代建築探訪メーリングリストで小生は、「東京駅解体と同じくらい大きな問題だと思う」と書きました。地域文博・高炉館の庵田さんは、「煉瓦造建築としては、西日本内で最大級の規模であると確信します」と書かれています。ただ、このことが話題にならないことについてALL-Aブログのtksさんは、「刑務所であるが故」と書かれています。
そうなのです。刑務所もそう、旧遊廓もそう、旧軍事遺跡もそう。無かったことにしたいものは、抹殺してしまうのです。
たとえば、登録有形文化財の登録基準の一つとして「再現することが容易でないもの」という項目があります。旧長崎刑務所のように大規模な煉瓦造の建物は、すでにこの基準にかなうはずです。
建物は、資産価値や効率化だけで評価すべきものではないはずです。予算が無いという理由だけで解体してしまうのは、何も価値を評価していないということです。
旧長崎刑務所の場合、使われていない刑務所を15年間も放置してきたこと自体がおかしいことなのですが、所有者だけの判断で解体してしまうこともおかしい。近隣の方々からの評判が悪いというのは、小樽運河のときもそうでした。それは、未来のある、近い将来のプランが示されないことが問題なのだと思います。旧長崎刑務所は、解体後のプランも無く、ただ解体するだけだとか。このまま放置されても困るが、何も目的もなく解体されるのも酷い話です。
旧長崎刑務所を解体するのは惜しい、残念だと言うだけではダメです。旧長崎刑務所には価値がある、残せと言わなければなりません。
価値を知る者がその価値を伝えなければ、誰もその価値を知ることができません。旧長崎刑務所を知る人は、ぜひ、価値があると声を挙げてください。価値を知る人が増えれば、展開の可能性も増すでしょう。少なくとも、価値ある旧長崎刑務所のことが世に知られぬまま、覆い隠すように解体されてしまうようなことがないように。